4,980万円の物件を見て、「4,880万円になったら買おう」と考える。数千万円の買い物ですから、少しでも安く買いたいと思うのは当然です。

そして実際、不動産には価格改定があります。待った結果、希望していた価格まで下がることもあります。

ただし、もう一つの結果があります。

翌週、価格を確認しようとしたら、
「申込みが入りました」と言われる。

これも、私たちが仲介の現場で何度も見てきた光景です。

「値下げされるまで待つ」は、交渉ではない

まず区別しておきたいのが、「値下げを待つこと」と「価格交渉をすること」はまったく違うという点です。

価格交渉は、「この金額なら購入します」という条件を購入申込書などで売主へ伝え、売主と買主が条件をすり合わせる行為です。一方、値下げ待ちは、売主に購入意思を伝えず、市場で価格が変更されるのを待つ行為です。

待っている間、売主から見れば、その人はまだ購入者ではありません。

価格が下がった瞬間、あなただけが安く買えるわけではない

ここが値下げ待ちの盲点です。

例えば4,980万円で反響が少なかった物件が4,780万円へ価格改定されたとします。「ようやく希望価格になった」と思うかもしれません。

しかし、その価格改定を見るのは自分だけではありません。ポータルサイトをお気に入り登録している人、以前内見した人、不動産会社から紹介を受けている人にも同じ情報が届きます。

価格が魅力的になれば、
自分にとって買いやすくなると同時に、
ほかの人にとっても買いやすくなります。

価格改定がきっかけで、それまで様子を見ていた複数の購入検討者が一斉に動くこともあります。

大きな窓のあるモダンなリビング
「もう少し安くなれば」と考えているのが自分だけとは限りません。

「100万円安く買うこと」と「その物件を買えること」

ここで一度、目的を整理してみます。

例えば5,000万円の物件について、「4,900万円なら買いたい」と考えているとします。

選択起こり得ること
価格改定を待つ希望価格まで下がる可能性がある一方、その前に他の買主へ売れる可能性もある
今、価格交渉する売主に断られる可能性はあるが、購入意思と希望条件を伝えられる
売出価格で申し込む価格交渉による不確定要素は減るが、その価格で買う価値があるかの判断が必要

どれが正解かは物件と買主によって違います。

ただ、「100万円安くなければ買わない」のか、「できれば100万円安く買いたいが、この物件を逃す方が困る」のかでは、取るべき行動が変わります。

値下げを待ってもよい物件もある

もちろん、すべての物件で急いで申し込むべきだという話ではありません。

長期間販売されている、周辺相場と比べて明らかに価格が高い、同じマンションや近隣に代替できる物件が複数ある――こうした状況なら、価格の動きを見ながら待つ判断もあります。

逆に、新着で反響が多い、同じ条件の物件がほとんどない、すでに別の購入検討者がいる、といった状況では、待つことの意味が変わってきます。

重要なのは「不動産は値下げされるもの」と決めつけず、その物件の競争状況まで含めて判断することです。

売主にも「今は下げない」という事情がある

買主から見ると、「ずっと売れていないのだから、そろそろ下げるのでは?」と思うことがあります。

しかし売主側には、住宅ローン残債、住み替え先の資金計画、売却期限、法人なら事業上の販売方針など、それぞれ事情があります。

販売開始直後で「まずはこの価格で反応を見たい」という時期なら、値下げする理由がありません。一方、販売期間が長くなり、売主自身が価格見直しを考え始めている時期なら、交渉の余地が出ることがあります。

同じ100万円の交渉でも、タイミングによって売主の受け止め方は違うのです。

値下げ情報が出る「直前」が難しい

実務上、特に悩ましいのが、売主側が価格改定を検討しているタイミングです。

買主が「値下げされたら連絡してください」と待っていたとしても、正式な価格改定が公開されれば、ほかの購入検討者にも知られます。

そこで、すでに購入意思が固まっているのであれば、ただ価格改定を待つのではなく、仲介会社を通して「この条件なら購入したい」と売主側へ伝える選択肢があります。

もちろん、売主が応じるとは限りません。しかし少なくとも、買う意思がある人として交渉のテーブルに乗ることはできます。

価格交渉するなら「この金額なら買う」を決めておく

「とりあえず安くなりませんか?」という聞き方と、「4,900万円であれば購入します」という申込みでは意味が違います。

売主側が価格を譲る場合、「それなら本当に契約するのか」は重要です。

そのため、価格交渉をする前に、自分の中で次の線を決めておくと判断しやすくなります。

希望価格はいくらか。
そこまで下がらなければ本当に見送るのか。
この物件を逃した場合、同じ条件の物件はあるのか。

この3つを整理すると、「値下げ待ち」が合理的な判断なのか、単に決断を先送りしているだけなのかが見えやすくなります。

一番もったいないのは「買うつもりだったのに買えなかった」こと

不動産購入では、安く買えたことだけが成功ではありません。高く買えばよいという意味でもありません。

相場や資金計画を確認し、その価格に納得できるかを冷静に判断することが前提です。

そのうえで、「この物件ならこの金額まで出せる」という基準を持っておく。価格が下がるかどうかではなく、自分にとってその物件はいくらの価値があるのかを考える。

それができていれば、値下げを待つにしても、交渉するにしても、満額で申し込むにしても、判断に理由ができます。

不動産は、値下げを待っている人のために販売を止めてはくれません。

だからこそ、「安くなるまで待つ」前に、「売れてしまったら自分はどう思うか」を一度考えてみる価値があります。

CHECK YOUR PROPERTY

気になる物件、待つべき?交渉できる?

ハウジングスカイでは、物件URLから仲介手数料「無料・半額」の対象確認だけでなく、購入申込みや価格交渉についてもご相談いただけます。

物件URLで確認する
編集方針:本記事は不動産売買仲介の実務経験をもとに、購入時の価格判断・価格交渉について一般的な考え方を解説しています。売主の判断、競合状況、価格改定の有無は個別の物件によって異なります。