まず知っておきたい。「銀行が違えば、住宅ローンも違う」
同じ人が、同じ物件を、同じ価格で購入し、同じ金額を借りようとしても、金融機関によって審査結果や提示条件が異なることがあります。
これは単純に「審査が厳しい・甘い」という話ではありません。金融機関ごとに商品設計や審査基準、対象地域などが異なるためです。
第4号「住宅ローンは銀行によってなぜ審査結果が違う?」でも触れましたが、住宅ローン選びでは最初から一つの金融機関だけに決めつけないことが大切です。
1.都市銀行――全国規模と商品・手続きのバランス
都市銀行は全国規模で営業する大手銀行です。住宅ローンの商品も幅広く、Web手続きと店舗相談の両方に対応する金融機関もあります。
給与振込などですでに利用している方も多く、住宅ローンを検討するときに最初の候補になりやすい存在です。不動産会社側でも取扱件数が多く、手続きの流れを把握しやすい金融機関です。
一方で、「大手だからどんな案件でも対応できる」という意味ではありません。年収、勤続、雇用形態、既存借入、物件などについて各行の基準で審査されます。
2.ネット銀行――金利とWeb手続きの魅力
ネット銀行は、店舗を中心としない運営によって、一般に低めの住宅ローン金利を提示する商品が多く、申込みや書類提出をオンラインで進められることも大きな特徴です。
条件が合えば非常に有力な選択肢です。ただし、表示されている最低金利だけで決めるのは早計です。実際の適用金利、事務手数料、団信、借入可能額まで確認する必要があります。
また、転職直後、自営業・会社経営者、収入構成や物件に個別事情があるなど、説明を加えながら進めたい案件では、対面型の金融機関も含めて比較する意味があります。
3.地方銀行――地域密着だからこその選択肢
地方銀行は特定地域を中心に営業する金融機関です。住宅ローンでも取扱地域が設定されていることがあり、その地域の個人や企業との取引に強みがあります。
実務では、都市銀行で希望どおりにならなかった案件が地方銀行では進むこともあれば、その逆もあります。これは「地銀だから審査が甘い」という意味ではなく、金融機関ごとに判断基準や商品が違うためです。
4.信用金庫――地域とのつながりを持つ金融機関
信用金庫は銀行とは異なり、地域の中小企業や住民などを主な取引先とする協同組織の金融機関です。住宅ローンも取り扱っており、営業地域が定められています。
地元企業勤務、自営業、会社経営者などの場合にも候補になることがあります。ただし「信用金庫なら通りやすい」と一般化することはできません。信用金庫ごとに商品、対象地域、審査基準は異なります。
5.フラット35という別の選択肢
フラット35は、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供する全期間固定金利型の住宅ローンです。銀行、信用金庫、モーゲージバンクなどさまざまな金融機関が取り扱います。
返済期間を通じて金利を固定したい場合などに比較対象になります。一方、対象住宅には技術基準があり、利用にあたっては物件側の条件も確認が必要です。
金利だけを並べると、見えなくなるもの
住宅ローン比較では「A銀行○%、B銀行○%」という数字が目立ちます。しかし本当に比較したいのは金利だけではありません。
金融機関や商品によって、金利だけでなく融資手数料などの条件も異なります。
「自分が実際に借りられる条件」で比較する。
「審査に通る銀行」と「条件が合う銀行」も違う
例えば、金利条件が魅力的な金融機関では希望額に届かず、別の金融機関では希望額で承認された、ということがあります。
この場合、広告上の最低金利だけを比べても判断できません。自分に適用される金利、借入額、諸費用、団信などを並べて初めて比較できます。
住宅ローンは「どこが一番安いか」を探すだけでなく、「自分の場合、どこならどの条件で借りられるのか」を確認する作業でもあります。
不動産会社が金融機関を提案する意味
「どこの銀行がおすすめですか?」と聞かれることがあります。しかし、全員に同じ金融機関を答えることはできません。
会社員か自営業か。転職直後か。既存借入はあるか。単独か収入合算か。新築か中古か。物件に特殊な事情はないか。借入希望額はいくらか。それによって候補は変わります。
不動産仲介の実務では、さまざまな金融機関へ住宅ローンを申し込む中で「この条件なら、この金融機関も確認してみよう」という選択肢が蓄積されます。
もちろん、最終的な審査を行うのは金融機関であり、不動産会社が承認を保証することはできません。
住宅ローンは「銀行の種類」だけで決めない
都市銀行、ネット銀行、地方銀行、信用金庫。それぞれに特徴があります。しかし、同じカテゴリーの金融機関でも商品や審査基準は同じではありません。
「ネット銀行なら必ず一番低い」「地銀なら柔軟」「信金なら借りやすい」と決めつけず、実際の商品と自分の条件で確認することが大切です。
結論。「自分に合う金融機関」を探す
住宅ローンは数千万円を長期間借りる契約です。0.1%の金利差を見ることも大切ですが、それだけではありません。
希望額まで借りられるか。物件が融資対象になるか。団信はどうか。諸費用はいくらか。契約期限までに手続きを終えられるか。そして、自分の事情に合う商品か。
自分にとって条件の合う住宅ローンを探す。
住宅ローン選びは、そこから始めた方がいいと思います。
住宅ローンは、金融機関との相性まで比較する。
借入希望額や働き方、購入物件によって候補は変わります。ひとつの銀行だけで判断せず、条件を整理して比較してみてください。
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