良い営業マンは「売る人」ではなく、判断材料を増やしてくれる人

「この物件、おすすめです」「今決めた方がいいですよ」と言うことだけが営業担当者の仕事ではありません。

道路、境界、越境、管理状態、住宅ローン、周辺環境。物件には、広告だけでは分からない確認事項があります。

「買ってください」と言う人より、
「この物件なら、ここは確認しておきましょう」と言える人。

私たちは、良い営業担当者とは、お客様の代わりに決断する人ではなく、お客様自身が判断できる材料を増やしてくれる人だと考えています。

1.都合の悪いことも説明する

日当たりに気になる点がある。前面道路に確認事項がある。マンションの修繕計画を見ておきたい。越境がある。住宅ローンに不確定要素がある。

契約から遠ざかる可能性があっても、購入判断に重要なら伝える。これは仲介会社に求めたい基本姿勢です。

国土交通省の「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」でも、法35条に列挙された重要事項は説明すべき事項のうち最小限であり、それ以外にも場合によって説明を要する重要事項があり得るとされています。

重要事項説明書を読み上げれば、
仲介会社の仕事が終わるわけではありません。

2.分からないことを「確認します」と言える

何を聞いても即答する担当者は頼もしく見えます。ただ、不動産では役所、売主、管理会社、金融機関などに確認しなければ正確に答えられないこともあります。

道路種別、法令制限、越境、管理規約、住宅ローン。曖昧な記憶で答えるより、「そこは確認してから回答します」と言える方が安心できる場面があります。

返信の速さは大切です。しかし、即答することと、正確に答えることは同じではありません。

3.急かさない。でも、急ぐ必要があるときは伝える

何でも「今日決めないと売れます」と言われれば、不安になるのは当然です。

一方で、不動産は一点ものです。本当に別の申込みが入っている、売主が契約日を重視している、完成前から購入希望者が動いている――そんな状況もあります。

煽らないことと、現実を伝えないことは別です。

必要以上に焦らせない。しかし時間が重要な局面では、その理由を具体的に説明する。このバランスも担当者を見るポイントです。

4.「買わない」という選択肢も言える

仲介会社は契約が成立して初めて報酬につながることが一般的です。だからこそ、担当者の姿勢が表れやすいのが「見送るべき物件」に出会ったときです。

予算に無理がある。希望条件と大きくずれている。リスクを理解したうえでも、その人には合わないと思う。

そんなときに、「今回は見送るのも一つだと思います」と言えるか。

契約を取るために物件を見るのではなく、
買ったあとに後悔しないかを見る。

5.物件の「良いところ」より、確認すべきところを教えてくれる

南向き、駅徒歩10分、収納豊富、リフォーム済み。広告に書かれている魅力は、誰でも説明できます。

仲介会社の価値が出るのは、その先です。

戸建て・土地道路種別、接道、境界、越境、ハザード、法令制限、周辺環境など。
マンション管理状況、修繕積立金、長期修繕計画、規約、駐車場など。
住宅ローン借入額だけでなく、金融機関ごとの条件や物件側の融資条件など。
契約条件手付金、解除、引渡し、特約など、購入後にも影響する条件。

良いところを説明するだけでなく、「ここを確認してから決めましょう」と言える担当者かどうかを見てみてください。

6.住宅ローンを一つの銀行だけで決めつけない

住宅ローンは、同じ人・同じ物件でも金融機関によって結果や条件が異なることがあります。

勤務先、年収、勤続、雇用形態、既存借入、購入物件などを見ながら、必要に応じて複数の選択肢を考える。これも仲介実務の一部です。

もちろん、最終的に審査するのは金融機関であり、不動産会社が承認を保証することはできません。

7.「感じがいい」に、「調べる・説明する・止める」が加わっているか

感じがいい。話しやすい。連絡が早い。これらは担当者選びで大切なことです。

ただ、数千万円の不動産を任せるなら、それだけでも足りません。

「感じがいい」に、
「調べる」「説明する」「必要なら止める」が加わっているか。

営業力と仲介実務の力は、重なる部分もありますが同じものではありません。

「良い会社」と「自分に合う担当者」は別に見る

会社の規模や知名度は、安心材料の一つにはなります。しかし、有名な会社だから担当者まで自動的に自分と相性がいいとは限りません。

逆に、小規模な会社でも経験豊富で丁寧な担当者はいます。

会社を見る。そして担当者を見る。この二段階で考えるのが現実的です。

良い不動産会社は「契約するまで」だけを見ていない

売買仲介は、購入申込みをもらって終わりでも、契約書に署名して終わりでもありません。

住宅ローン、本審査、契約条件、測量や越境などの確認、残代金、登記、火災保険、引渡し。取引には契約後にも多くの手続きがあります。

国土交通省の標準媒介契約約款でも、宅建業者の業務として、契約相手方の探索だけでなく、契約条件の調整等を行い、契約成立に向けて努力することなどが示されています。

「契約が取れた」ではなく、
無事に取引を終えられるところまで考える。

結論。最後に決めるのは、お客様

今は多くの物件情報をインターネットで見ることができます。だからこそ、仲介会社に求められる価値は「物件を見つけること」だけではなくなっています。

調べる広告だけでは分からないことを確認する。
比べる物件や住宅ローンなど複数の選択肢を整理する。
伝える良いことだけでなく、判断に必要なリスクも説明する。
必要なら止める契約しない方がいい可能性も選択肢として伝える。

そして、最後に決めるのはお客様です。

良い営業マンとは、家を売る人ではなく、
お客様が自分で決められるだけの
判断材料をそろえてくれる人。

私たちは、そう考えています。

INFORMATION BEFORE PERSUASION.

広告ではなく、判断材料を。

物件選び、住宅ローン、契約条件。分からないことを一つずつ確認しながら、不動産購入を進めてください。

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参考:2026年9月時点。この記事の「良い不動産会社・営業担当者」の考え方は、不動産売買仲介の実務経験に基づく編集上の見解です。法令上の義務と、当メディアが望ましいと考える実務姿勢は同一ではありません。

国土交通省|宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方
国土交通省|標準媒介契約約款